肺腫瘍の位置をICタグで特定、切除容易に 岐阜大病院、小さい段階で発見し患者負担減2023:01:06:11:06:36
岐阜大病院(岐阜市柳戸)は、早期小型肺がんの患者に対し、小型ICタグを使って腫瘍の位置をあらかじめマーキングする最新の手術ナビゲーションシステム「SuReFInD(シュアファインド)」を導入した。東海地方の病院では初の導入で、既に4件の手術を行っている。手術中に腫瘍の位置を特定することがこれまでより容易になり、患者の身体的負担の軽減にもつながる。
肺がんの手術では、内視鏡の一種である胸腔鏡(きょうくうきょう)を使った胸腔鏡下手術が広く行われている。手術の際、通常はCTの画像を手がかりに、指で触って実際の腫瘍の位置を特定する「触知」が行われるが、早期小型肺がんの場合は腫瘍自体が小さいために触知が難しい。このため、CTで発見した腫瘍を探すために手術時間が長引いたり、開胸手術に切り替えるケースがある。
このシステムは横7・2ミリ、直径1・8ミリの円柱状の小型ICタグを、気管支内視鏡を使って腫瘍付近に配置。その後に行う胸腔鏡下手術で、体に空けた穴から挿入した専用アンテナがICタグの位置まで到達すると音が鳴る仕組み。ICタグと腫瘍は一緒に切除する。
同病院はこれまでに、このシステムを使った手術を4件行った。3件は胸腔鏡下手術で、もう1件は手術支援ロボット「ダヴィンチXi」で行い、いずれも腫瘍の位置が容易に特定できたという。
手術は、呼吸器センター長の岩田尚教授(58)が統括し、体内にICタグを入れる呼吸器内科の柳瀬恒明臨床講師(40)と、手術を行う呼吸器外科の山本裕崇助教(39)が中心になり、内科と外科が連携して行った。早期小型肺がんは、肺葉そのものを切除するよりも、腫瘍とその周辺だけを切除する方が効果的との研究結果もあり、ICタグによるマーキングは有効な手法として広く導入される可能性がある。岩田教授は「がんを小さい段階で発見し、切除する範囲を少しでも狭めることが大切」と話している。
岐阜新聞Web 2023/1/5 08:10