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3/19 正しい診断まで平均20年 「実は希少疾患だった」2022:03:20:03:24:46

正しい診断まで平均20年 「実は希少疾患だった」
 未診断期の患者の経験を辿り明らかに

 大阪大学研究ポータルサイト  2022-3-19
●生命科学・医学系 医学系研究科教授加藤和人

概要
 大阪大学大学院医学系研究科の大学院生の磯野萌子さん(博士課程)、小門穂招へい准教授(医の倫理と公共政策学/神戸薬科大学 准教授)、加藤和人教授(医の倫理と公共政策学)は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者に、症状が出てから正しい診断がつくまでの期間(未診断期間)の経験に関するインタビュー調査を実施しました。その結果、治らない症状に患者が長年苦しんでいても、当時の患者や医療者は「診断が難しい疾患(難病・希少疾患)」に罹患している可能性に思い至らず、このために正しい診断を得るまでの年数が長期に及んだ場合があることが明らかになりました。
 難病・希少疾患では、正しい診断が遅れるという課題があります。患者は、病名が見つからないまま様々な症状に悩み、多くの医療機関を受診することが知られています。欧米のレポートでは、未診断の年数は平均4-9年とも報告されていますが、この期間の患者の経験を深く分析し、記述的に明らかにする研究はこれまでありませんでした。
 今回、研究グループはインタビュー調査により、患者は症状に苦しんでいても、その症状や病院での対応に慣れてしまうことで、積極的に診断を探さないまま苦しむ状態が続く場合があることを明らかにしました。早期に正しい診断をつけられる医療体制の構築に向けて、これまでは「診断が難しい患者」を高度な診断機能を有した病院へ適切に紹介するための施策に注力されてきましたが、目の前の患者が「診断が難しい患者」である可能性に気づくための施策も重要であることが示唆されました(図)。
 本研究成果は、「PLOS ONE」に、3月19日(土)午前3時(日本時間)に公開されました。
  https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2022/20220319_2