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1/14 B型肝炎ウイルス感染を抑制する抗体を開発2022:01:15:21:58:55

B型肝炎ウイルス感染を抑制する抗体を開発
-ウイルス侵入受容体をターゲットにした新しい抗体医薬に貢献-
  理化学研究所・国立国際医療研究センター・広島大学 22/01/14

 理化学研究所(理研)生命医科学研究センター創薬抗体基盤ユニットの竹森利忠基盤ユニットリーダー(研究当時、現炎症制御研究チーム客員研究員)、生命機能科学研究センター創薬タンパク質解析基盤ユニットの白水美香子基盤ユニットリーダー、科技ハブ産連本部創薬・医療技術基盤プログラムの深見竹広マネージャー、後藤俊男プログラムディレクター(研究当時)、国立国際医療研究センター(NCGM)肝炎・免疫研究センターの下遠野邦忠客員部長、広島大学大学院医系科学研究科の茶山一彰教授らの共同研究グループは、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染受容体であるヒトNa+/タウロコール酸共輸送ポリペプチド(NTCP)[1]に結合し、HBV粒子のヒト肝細胞への感染を阻害するモノクローナル抗体[2]を開発しました。本研究成果は、新たなB型慢性肝炎抗体医薬[3]の開発に貢献すると期待できます。

  https://www.riken.jp/press/2022/20220114_1/index.html

 現在、慢性肝炎を完治できる薬はなく、治療には主に核酸アナログ製剤[4]が使用されています。しかし、投薬法や安全性に問題があり、作用機序の異なる治療方法の構築が求められています。今回、共同研究グループが開発したモノクローナル抗体(N6HB426-20mAb)は、HBVの変異、遺伝子型[5]、血液中のHBs抗原[6]陽性の非感染性中空粒子[7]の存在に影響されることなくHBV感染を阻害でき、かつウイルス感染阻止に必要な抗体量では、NTCPの本来の機能である肝細胞へ胆汁酸[8]を取り込む輸送体としての生理活性は阻害されません。

 本研究は、科学雑誌『Journal of Virology』(3月9日号)の掲載に先立ち、1月5日付でオンライン掲載されました。