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第90回 日本の医療どう変わる?2025:03:31:22:00:59

産経新聞大阪本社 地方部編集委員 北村 理
高度療養費の見直し論議、病院経営の赤字、地方病院での医療者の大量退職、
全国の病院であいつぐ医療ミス、介護士や看護師の待遇改善、医師の偏在是正論議、
医師の働き方改革、広がる病院間の技術格差など諸問題が顕在化する一方で、地域医療構想の見直しが始まった。
地域医療構想の見直しでは、高齢化がピークを迎える2040年ごろをめどに、入院、外来、在宅医療、介護との連携などを将来の医療提供体制全体の構想とするらしい。まさに〝理想的〟ではあるが、冒頭に述べたような、医療が抱える根本的な問題が解決されないまま、進むものでもないことは一目瞭然だ。
順天堂大学などの調査によると、医師の思い込みや注意不足で医師の誤診断に看護師が気づいていても、気づいた看護師の半数が医師に伝えないという。主な理由は「医師のプライドを傷つける」「伝えても無視される」「診断は医師がするもの」「医師を怒らせる」などとなっている。医療の基本をなす、医師と看護師の医師疎通がこれでは、多職種間で高度なコミュニケーション能力が求められる地域医療構想など望むべくはないだろう。
こうした医療を巡る構造的な問題の全体像を提示し国民に理解を求めずして、つまみ食いで、目立つところを選んで、高度療養費の問題をいきなり国民に突き付けても駄目なことは、高度医療費が患者会などの抵抗で凍結されたことをみても分かる。
医療は防災と同じで国民の生命と日常生活に大きな影響を与えるものだから、絶えず情報発信して国民に理解を求める努力なくして理解は得られない。
医療・介護は、専門性がある人材が関わるだけにお金がかかるもの。高度療養費の見直しが医療の進展を阻害する可能性があるように、長期的な展望なくして、語るべきではない。
<2025/3/31 掲載>