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第82回 メディカル×フィットネスの時代2024:08:13:05:51:42
産経新聞大阪本社 地方部編集委員 北村 理
生存の基本は、動くことと食べることである。このことは健康状態にかかわらず変わらない。
ところが、病気になると、あたかも安静にすることが当たり前のように思う。ただ、最近は、病院で治療をうけても、早期退院が求められるから、手術したとしても、1日ほどで、動くように指導される。しかしながら、退院してしまうと、元の木阿弥である。
特に心疾患の場合、治療は高度な医療が必要とされるが、退院すると、元の生活、つまり心疾患の原因になったであろう、普段の生活に戻る。
この負のサイクルを断ち切るために、東京のある在宅医療クリニックでは、オンラインで患者の健康データを逐一チェックし、必要であれば、映像を通じその場で運動を指導する。
そのクリニックでは最近、フィットネスと診療をコンビネーションした「メディカルフィットネスジム」を開設した。都心の駅近であるから、会社帰りにも通える。
ジムでは在宅医療に従事している、理学療法士、トレーナーらが隣接する内科クリニックと連携し、生活習慣病を予防するために、運動をしながら、医療的な管理、食事療法のアドバイスを受ける。
日常生活で運動とひとくちに言っても、大方の人は自己流でやったりやらなかったりが普通である。プロのスポーツ選手ですら、トレーナーがつきっきりでやっても、けがをすることはある。
フィットネス業界では、パーソナルトレーニングが潮流だが、ダイエットだけでは健康とはいえない。前述の在宅クリニックの取組は医療、フィットネス双方の連携で、双方の特徴を最大限にいかした取り組みになる。
医療、フィットネス、双方の業界にとって、高齢化で増大する医療費の節約にもつながる、ある種の革命ではないかと思う。長寿社会が進む一方で「健康寿命」はどう成し遂げられるのかの試金石にもありうるだろう。
<2024/8/13 掲載>