第2回「がん患者会の活動状況」2014:02:21:00:16:22

兵庫医科大学 社会福祉学 大松 重宏

前回は、がん患者会の中でもピアサポートのプログラムについて述べさせていただきました。今回は、がん患者会の社会活動を見ていきます。がん患者会を継続していくと、社会に問題があるのではないかとか、また自分たちが気付いた問題を社会に広める必要があるのではないかと考えるようになるのは、自然な流れだと思うからです。

Ⅴ.がん患者会の社会活動(グラフ2)

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がん患者会が実施している社会活動は,地域(会員外)の一般市民を対象にした相談活動は73団体(58.9%)が実施との回答でした。がんの啓発のための活動は100団体(80.6%)が参加(自らが企画・実施も含む)との回答で、がん検診等の普及・啓発等の活動は94団体(75.8%)が参加(自ら企画・実施も含む)との回答でした。地域の一般市民向けの講演会については67団体(54.0%)が自ら企画・実施しているとの回答でした。他の患者会との情報交換や協働活動については84団体(67.7%)が実施しているとの回答でした。地域の医療機関に対してサービス向上等のためのアドバイスや委員会活動の委員としての役割は,70団体(56.5%)が実施との回答で、国の政策や地域医療や福祉サービスの改革のための委員会等(提言・陳情等も含む)については61団体(49.2%)が参加との回答でした。医療機関や企業の治験・臨床試験には26団体(21.0%)が協力していました。

Ⅵ.まとめ

前回に「定例会・交流会」を開いていないがん患者会があると書きました。それは、がん患者会の社会活動と関係があるのではないかとも書きました。つまり、がん患者会の代表、またコアメンバーが直接的にがん体験者と支え合う工夫や知恵があるのですが、それよりも優先順位の高い活動は、この社会活動であると考えているがために、直接的な仲間の支え合う場を作ることを、敢えて後回しにしているがん患者会もあるということです。
もっている限りのある力を、社会を変えていくことで、がん体験者が社会の中でより良い治療と生活が可能になる、と判断しているのではないでしょうか。がん患者会とは、直接的なピアサポートと、この社会活動の二つがバランスよく展開されて、初めてがん体験者のためになると私は強く思っています。今回、がん患者会の活動状況の調査結果とそこから見えてきた私見を述べさせていただきました。また、この調査結果が、全国のがん患者会の一つの指針となり、すべての地域にがん患者会が立ち上げられることの一助となることを期待しております。

<2014/02/21掲載>