がん診療の実績をご覧いただく前に2013:05:23:22:38:46
治療ごとの患者数では、「新たにがんと診断された方」の治療を数えます。
2001-2003年診断患者とは、2001年から2003年の間に「がん」と診断された患者さんのことです。その中には、新たにがんと診断された方もいらっしゃれば、がんが再発された方もおられます。新たにがんと診断された方のことを新発届出患者といい、施設別の治療ごとの件数は、その方たちが受けられた治療数を施設別に数えた値です。
ただし、生存率の集計表では、ひとりのがん患者さんが複数の医療機関で治療を受けられた場合には、「主」治療を担った施設の件数として計上しております。「主」治療の優先順位は、手術(体腔鏡手術と内視鏡手術を含む)、放射線治療、TAE、エタノール注入、レーザー治療、化学療法、ホルモン療法、免疫療法の順です。例えば、手術をA医療機関で、化学療法をB医療機関で受けられた患者さんの場合、患者さんはA医療機関で計上され、B医療機関では計上されません。がんの種類や拡がりにより「主」治療医療機関を定める優先順位が妥当でない場合もありますが、今のところすべてに共通の方式で順位をつけています。
診断時のがんの拡がりを考えながら5年生存率を観察します。
5年生存率とは、がんと診断されてから5年後の時点で存命されている患者さんの割合をいいます。「5年」という期間は治癒したとみなす目安として使われますが、がんの部位・種類によって異なるため、あくまでもひとつの目安です。また通常の5年生存率の算出では死因を問わないため、診断から5年後にどのくらいの方が存命され、どのくらいの方ががんで亡くなっているのかはわかりません。そこで、通常の5年生存率のかわりに5年相対生存率(同じ時代に生きる同性同年齢の一般の方が5年後に生存される確率との比。同じなら100%となる)を示すことで、かかったがんによりどのくらいの方が亡くなり、また存命されているのかがわかるようになっています。
生存率を診断時のがんの拡がりごとに示しています。診断時のがんの拡がりは大きく3つに分類され、①がんが原発臓器に限局している(限局)、②がんが所属リンパ節に転移または隣接臓器や組織に浸潤している(領域)、③がんが遠隔臓器や組織に転移・拡がっている(遠隔)、となります。診断時のがんの拡がりを大きく分類することで、昔も今も同じ定義を踏襲することができますので、現在に至るまでの推移を観察することも容易です。
なお、診断時のがんの拡がりは生存率に大きく影響しますため、また、病院ごとに診断時のがんの拡がりの分布は異なりますので(病院によっては、がんが原発臓器に限局している患者さんの割合が多いところもありますので、そういった病院では生存率が高くなります)、病院における診断時のがんの拡がりの分布が大阪府全体のがん患者さんの分布と同じと仮定した場合の、病期調整5年相対生存率も示しています。ただ、生存率に大きく影響するのは診断時のがんの拡がりだけでなく、患者さんの年齢や合併症などもありますので、病期調整生存率を病院間で単純に比較するのではなく、参考程度に留められることをお勧めします。
最後に、生存率は病院からの大阪府がん登録への届出が不完全ですと、生存率が真の値より高くなったり低くなったりする、ということも気にとめていただきたい点です。「大阪府がん登録への届出が不完全」とは、大阪府がん登録へのがん患者さんの情報の届出が遅れたり、届出されなかったりということです。大阪府がん登録からは各病院に対して、適宜ご協力のお願いをさせていただいております。
<資料提供:大阪府立成人病センター がん予防情報センター>