「あなたの身近に相談支援ネットワーク」2012:04:02:15:53:24
2011年12月3日 当会主催「なんでもがんでも情報は力!展」では、「あなたの身近に相談支援ネットワーク」コーナーを設け、 がん拠点病院相談支援センター相談員により、参加者の悩みや疑問にお答えしました。
相談対応にあたって下さった、大阪南医療センター 濵 寛子さん、近畿中央胸部疾患センター 池山晴人さん、岸和田市民病院 和田光徳さん、星ヶ丘厚生年金病院 松本はるみさん、大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 西條美香さん、大阪府立成人病センター 岩井益美さん、斉当美佳さん、島沙也華さんには、多大なるご協力を賜り、誠にありがとうございました。
大阪南医療センター 濵 寛子さんより「応援レポート」をいただきましたので、当日ご来場者より寄せられたご相談と、それに対する相談員の対応を併せてご紹介いたします。
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①(相談)
女性 73歳
膵がん 胆管切除 転移なし H23.3 手術
病前より強度の便秘(5日間ないのが普通)
現在毎日排便ある。無いと気分が悪くなり、動けない。
しかし、ラキソベロン35滴使うことが不安
病前~手術後より、低栄養状態続く アルブミン3.5↓
この10月よりやっと出歩けるようになった。(対応)
検査票持参のため、それを元に説明。
術後経過としては安定していること。
下肢のむくみ、朝のこむら返りなど、低たんぱく、低Ca症など、低栄養状態に起因する可能性を示唆し、焦らずに日常管理されることを勧めた。
充分、食事の質、運動について、一般的情報をガイダンスする。 -
②(相談)
女性40代
母の治療とその経過について
(話の内容は伏せてほしいとのこと)(対応)
傾聴。自院の相談支援センターをご案内した。 -
③(相談)
女性40代
緩和ケア・臨床試験・免疫療法(対応)
在宅医・往診医 -
④(相談)
女性70代
<肺がん>
がんをもってどう生きるか。
イレッサの副作用について。
主治医との関係(対応)
傾聴。教育的介入。情報アドバイス。 -
⑤(相談)
女性70代
<大腸がん>
H20 手術以後 3ヶ月に1度の経過観察
前回の経過観察時、次回は入院と言われ不安。
侵襲の少ない画像検査のみではフォローアップできるか。(対応)
傾聴。受容。情報アドバイス。 -
⑥(相談)
女性50代
<乳がん>
連携パスで紹介された病院が遠い。
どうしたら変更できるか?(対応)
傾聴。受容。情報収集方法のアドバイス。 -
⑦(相談)
男性70歳代。6年前に大腸がん、肝転移。5年生存率とか5年で治療終了と言われるが、その後はどうしたら良いのか。(対応)
主治医に今後の治療方針や、検査の予定の必要性を、自分から聞いて相談につなげる気持ちをサポート。かかりつけ医での日常診察のフォローとの連携が可能になることも補足説明。 -
⑧(相談)
女性76歳
H23.10.23 乳がん手術(温存術)
術後の抗がん剤治療を勧められているが、副作用のために身体が動かなくなり、家族に負担をかけるのが心配。
そうなるのであれば、抗がん剤はしたくないと思う。(対応)
副作用について説明を受けていない。
副作用そのものの不安、副作用により家族に負担をかける不安、やりたいことが出来なくなる不安(畑仕事・温泉旅行など)というように、漠然とした不安を整理。その上で、AC療法+放射線治療を提案(リンパ節廓清・pet上転移なし)されており、標準治療として安心で安全な治療法であること。支持療法及び治療法選択には、患者の活動量も考えていくことをサポートした。 -
⑨(相談)
女性40代
・がん告知後のショック、落ち込み
・今後の治療や生活に対する不安(対応)
1週間前にがん告知され、頭が真っ白で、どうしたら良いのか分からず相談に来られた、とのこと。
思いを傾聴し、気持ちを整理できるように対応しました。また、パンフレット等をお渡しして、様々な病院にも相談センターがあることをお伝えいたしました。 -
⑩(相談)
男性80歳代。
前立腺がん、外来通院中。パーキンソンの通院中でもある。最近、大腸がんも発症したが、それぞれが違う病院にかかっている。治療方法は病院によって違うのか聞きたい。今後の治療する医療機関をどこにすれば良いか。(対応)
今後の病院の選定に慎重になっている気持ちの整理。治療していく病院を決めるための自身の基準への気づきを促し、選択・決定のサポートをした。 -
⑪(相談)
女性70歳代。乳がん9年目、リンパ節転移。
この先、他に転移したり、状態が悪くなるのでは?という不安が沸いてくる。がん以外にも、ひざ関節や胆のう等の病気があり、通院の毎日されている。薬の種類や量が多くなっているが、胃は大丈夫か?自分なりに工夫して薬を飲んでいる(薬局も病院も別々)。(対応)
方法として、主病院での薬相談。かかりつけ薬局の役割と意味を話し、自分の工夫に専門的な軸を作る必要性を話。相談室での相談方法を助言。
「あなたの身近に相談支援ネットワーク」 応援レポート
大阪南医療センター 濵 寛子
相談支援コーナーでは、大阪府立成人病センター、岸和田市民病院、近畿中央胸部疾患センター、大阪府立呼吸器・アレルギーセンター、大阪南医療センターから、MSWと臨床心理士が対応させていただきました。
患者さんやご家族さんからの11件の相談があり、40歳代から80歳代まで年齢もがんの部位も抱えておられる状況も様々でした。
がんの告知を受けたショックから今後どうしていけばよいかわからない、家族の負担になるのであれば治療はしたくないと思っている、連携パスで紹介された病院が遠くて困っている、がんになって5年経過するのでよくいう5年生存率が気になって恐い・・・。このような相談を受けさせていただいた印象は「悩みや不安を抱え込んでおられる」ということです。インターネットや書籍などから情報
を探し求めている方もお見受けしました。相談に来られた皆さんは、決して身近なスタッフとの関係性に困っていて相談できないという訳ではないようで、「相談してよいのだ」という考えまで、気持ちが辿りついていないのだと思えました。
現代のわたしたちの周りには様々な情報が飛び交い、探せば膨大な情報源にすぐにアクセスできる環境に囲まれています。しかしながら、その情報の真の意味は何か、自分に該当するのかどうかについて、正確な知識をもって判断しなければ、かえって不安が募ってしまい、情報の渦にのまれて苦しくなってしまいます。
がんとの付き合いに悩みが尽きることはないと思います。自分自身の考えや価値観に、時折、専門的知識の軸を入れてみることをお勧めします。そうすることで、不安の大波が押し寄せても、渦にのまれることなく気持ちと情報の整理がしやすくなります。「自分らしい生き方」を目印に、少しずつ安心した日常に繋がっていくのかな、と思います。
国や大阪府が指定する「がん診療連携拠点病院」では、すべての施設に相談支援センターが設置されており、この日のような相談に常に対応しています。費用は無料ですし、プライバシーは厳守いたします。
よく、「こんなこと相談できるのかしら」という言葉を相談室への電話や来室時に、かなりの頻度でお聞きします。「こんなこと」こそ重要です、ぜひお話ししてみてください。