がんばってます、その後2011:08:11:06:28:49

大阪市立総合医療センター 放射線腫瘍科 田中正博

JASTRO News Letterに「がんばっています」を書いてから12年が経ちました。時間の経つのは驚くほど早いものです! 今回は縁あって「がんばっています。その後」を書く機会をいただきました。編集部から前の原稿を送ってもらい、読み直すと冷や汗がいっぱい出てきました。当時と比較して進歩が少なく、あんまり頑張っていないことが分かってしまいました (^^ゞ(汗)

前回から今回の違いを考えますと、まず年間の放射線治療患者数が531名から1,000名近くまで増加しました。放射線治療が社会的に広く認知され、需要が高まっているということでしょう。JASTRO広報委員会をはじめとする会員の頑張りの成果と考えます。当院ではこの12年間に放射線科が放射線診断科と放射線腫瘍科に分離し、放射線治療の独自性が高まりました。常勤の放射線科医師が7人から11人に、放射線治療医が1人から専門医3人とレジデント1名に増員されました。放射線治療品質管理士3名と医学物理士1名が誕生しました。がん放射線療法看護認定看護師の卵もいます。放射線治療装置ではガンマナイフが更新済み。リニアックが更新中(今年の8月に設置完了予定。運用開始は12月?)、高線量率イリジウム小線源治療装置が来年度更新予定です。前立腺がんに対するヨード125を用いた密封小線源治療とストロンチウム89による骨転移部位の疼痛緩和治療を新しく開始しました。

EBMを重視した治療を心がけていましたが、近年はJCOG(http://www.jcog.jp/)とWJOG(http://www.wjog.org/)の2つの臨床試験グループに参加し、臨床腫瘍科、消化器内科・外科、呼吸器内科・外科、婦人科と共同で臨床試験に取り組んでいます。

以前から人が大切と信じ、若手の放射線腫瘍科医を増やす努力をしてきたつもりですが、最近はますます人のつながりが大切と思うようになってきました。以前ならば食道がんの化学放射線療法をするときに放射線科に入院して、化学療法も自科で実施していましたが、今では臨床腫瘍科に入院していただき、化学療法の部分は臨床腫瘍科が担当してくれます。このおかげで抗がん剤の副作用対策も完璧となり、放射線腫瘍科医は病棟管理を離れ、放射線治療に専念できるようになりました。そのかわり外来化学療法の運営には放射線腫瘍科も協力しています。リニアックの更新中は近くの医誠会病院・北村達夫先生、大手前病院・広川恵子先生、済生会中津病院・福田晴行先生、大阪厚生年金病院・西多俊幸先生、関西医科大学附属病院・播磨洋子先生と鎌田実先生、石切生喜病院・永田憲司先生、...、多くの先生方の協力で放射線治療が継続できています。また新しいリニアックの内装にはNPO法人がんと共に生きる会(http://www.cancer-jp.com/)事務局長・大阪がんええナビ制作委員会(http://www.osaka-anavi.jp/)代表の濱本滿紀様ほか患者会の方々にもご協力をいただいて、患者さんの視点に立ち、より患者さんに優しい、そして医療者にも優しい放射線治療を進めたいと考えています。

一人で頑張らずに、みんなで頑張りまひょ!
がんばろう!!日本

JASTRO NEWSLETTER vol.100より転載