放射性ヨード内服治療2011:03:04:18:04:19

放射性ヨード内服治療(内用療法)とは、甲状腺癌がヨード(海藻類などに多く含まれるミネラル栄養素)を取り込む性質を有することがあるのを利用し、I-131と呼ばれる放射線を放出するヨードのカプセルを内服することで施行する放射線治療です。甲状腺とは、体内に摂取されたヨードを集め、甲状腺ホルモン(新陳代謝を促すホルモンであり、健全な精神・身体の活動に密接に関係します)を分泌する臓器です。体内に入った放射性ヨードは、自然に甲状腺癌の病巣に吸い寄せられます。ヨードから放出される放射線の到達距離は非常に短い(0.5mm程度)ため、癌病巣のみに集中して放射線を照射することができます。このため、非常に副作用の少ない放射線治療を行うことができます。

対象となる疾患は、
・組織型が分化癌(乳頭癌あるいは濾胞癌)であることが必要です。
・甲状腺分化癌であり、転移巣や切除不能病巣を有する症例、あるいは再発の危険が高い症例が適応となります。

この治療法は、甲状腺癌が正常の甲状腺と同様に血液中のヨードを取り込む、という性質を利用しています。仮に甲状腺が全摘されていない状態でこの治療を行うと、放射性ヨードのほとんどが、残存している正常甲状腺に集まってしまい、癌にはうまく行き渡りません。このため、放射性ヨード内用療法を行うためには甲状腺が全摘されていることが必須です。